緊急災害時に備えましょう
自分は現職で組織内のBCP(企業継続計画)対応の担当者をしてます。国内の大規模災害では能登の件が記憶に新しいと思います。決して他人事ではないので、BCP対応の家庭版である「FCP」対応は各ご家庭で必ず準備をすることを強くおすすめ致します。
今回は企業向けBCP担当の経験からご家庭で対策が可能なFCP(家族継続計画)について「緊急災害時の連絡手段確保」を中心に記事にしました。参考程度にお読みください。
FCPの対応で必ず決めるべきこと
・安否確認、家族間の連絡手段の確保
・各人の避難場所の確認
・72時間生存を目安とした備蓄品の確保
上記が最低限担保すべき「緊急災害時の備え」になります。今回は特に「安否確認」をする上で重要な「家族間の連絡手段」について説明します。
家族間の連絡手段の確保「LINE」を使おう
今やアクティブユーザー数9000万人以上の有名アプリですが、もともと東日本大震災を発端に「ホットラインを作りたい」という名目で開発されたパケット通信方式の通話チャットアプリになります。
リリースは2011年ですので、10年以上使われるアプリです。では、何故LINEが緊急災害時に重宝されているのでしょうか?
パケット通信方式は災害時の通信規制が殆どない
緊急災害時に被災した際に「スマホの通話が使えない」という現象を経験されたことがあると思います。これはスマホの標準通話アプリが電話回線を使用しており、災害時には被災エリアの電話回線が「緊急通話優先」に切り替わるからです。
大規模災害時の通話規制について、優先される通話は「緊急連絡(警察、救急、消防)」の電話回線を優先します。
そのため各通信事業者は全体の約80〜90%の電話回線を制限します。なので被災時に通話が出来ないという現象が起こるのです。
電話回線とパケット回線の違い
一方パケット通信は災害時であってもおおよそ10〜30%程度の通信規制しか発生しません。
主にインターネット通信で利用される通信方式で、電話回線は「一対一の通信確保型」の通信方式に対して、パケット通信は「1パケット単位を小分けにして伝達する」回線方式になります。
これは電話回線は必ず双方の回線を確保しないといけませんが、パケット通信は小分けしたデータを共有回線上で伝達するので、回線確保は必要ありません。従って
電話回線は「通話品質と強度が高いが回線を専有してしまう」パケット通信は「通話品質が低い状態でも回線を専有せずに通話が可能になる」
といった被災時の通信に適した方式になります。
では何故LINEがベストなのか?
・既存ユーザー数
・無料利用可能
・動作が軽い
・直感的な操作性
以上の理由から日常から災害時まで広く利用されております。
もともと緊急災害時の利用を視野に入れたツールですので、ツールを増やせば増やすほどユーザーストレスが溜まりやすく、有事の際に使い慣れていないツールを使うことは非常に非効率です。従ってLINE通話は災害時の利用に適したツールと言えます。
LINEの便利な機能「既読」の有無で生存を確認
これは皆さんご存知の既読表示です。被災時に連絡が取れない状況でも「既読」が付けば大抵本人、もしくは第三者がチャットに気が付いたということがわかります。
既読スルーは日常はあまり好ましくありませんが、非常時には重宝しますね。また、スタンプ機能を利用するとワンタップで相手に状況を伝えることも出来ます。
・家族全員インストールしておく
・家族ライングループを設定しておく
・災害時はチャット中心に連絡をとる
このような定義付けをしておけば最低限の連絡手段の確保が出来ると思います。他には大手通信事業者が提供する「非常用Web掲示板」なども「どこを使うか?」を決めて一度デモで試すのもありです。
「LINE+1」位の手段確保はより有事の際の備えとしては有効です。(増えすぎると混乱するので注意)
まとめ
今回は連絡手段の確保についてまとめてみました。避難場所は各々の生活環境(住居、通学通勤先)の地域が定める場所を確認し、おおよその避難場所を共有してください
72時間生存は、概ねライフラインの最低限の復旧目安とされています(完全復旧ではありません)千葉の災害で早速破られていますが、概ね72時間以上生存を確保すれば助かる確率が上がるとされています。
この点に関してはまたの機会にまとめようと思います。以上、家庭のFCPの連絡手段確保についてでした。