自分の個人的リスペクトゲームであるFalloutの実写ドラマ化に続き、今度は「龍が如く」がAmazonプライムで実写ドラマ化するとニュースで知りました。
主演:竹内涼真さん(桐生一馬役)とのことですが、正直イメージが合わないと思います。ただ役者さんの演技次第ではこちらの期待を十分に裏切る可能性があります。配信が開始されたので解説と考察記事を始めました。
実写化については、古参ファンからすれば「またか」と思ってしまう方が多いと思います。何故そう思うのか?というと、実は「龍が如く」は既に劇場版として実写化されています。今回はその劇場版「龍が如く」を実写ドラマ化以前の実写作品としてゲームとの相違点などを含めて紹介したいと思います。
「龍が如く」劇場版、および「龍が如く」第一作目のネタバレを含む記事になっています。既に視聴、プレイ後の方やネタバレでも問題がない方はこのままお読みください。また、今回は賛否の「否」の立場で書いていますので、そちらも考慮いただいてからお読みください。
劇場版「龍が如く」について
本作は2007年、原作:SEGA、監督:三池崇史、主演:北村一輝で劇場公開された作品です。出演俳優陣も豪華で、後の「龍が如く」ゲーム本編にもフェイスキャプチャーで出演されている方も多数いらっしゃいます。今作の監督である三池崇史監督は本作を撮ると知ってすぐにPS2を購入し徹夜でクリアをして撮影に臨んだそうです。
「ゲームをプレイした方も未プレイの方も楽しめる作品」とおっしゃってたそうです。
ゲームをモブ目線で描いてめちゃくちゃになった作品
最初から結論を忖度なしで書かせていただくと、まさに「モブ目線」のオリジナルストーリー進行と解釈、要らない描写に時間が割かれて肝心のメインストーリーが端折られてしまっています。特にメインキャラの扱いが雑なのはゲームファンの神経を逆立てました。自分も視聴当時、憤りに近い感情を持ったうちの一人です。改めて本作に触れましたが、やはり同じ感情を抱いてしまったわけです。
個人的総合評価
先に個人的な本作品の評価をさせていただきます。
メリット | デメリット |
---|---|
真島役の岸谷五朗さんが意外とハマっていた 神室町の再現度が高い | 俳優が豪華モブ目線のオリジナル演出が長い ライバル錦山が空気 ゲームをしていても理解が出来ないストーリー 全体的に雑、端折りすぎ |
項目 | 評価 |
---|---|
ストーリー再現度 | |
演出 | |
世界観表現 | |
俳優の演技と再現度 | |
おすすめ度 | |
総合評価 | 観るくらいなら、ゲームをやったほうがいい |
賛否が分かれる作品になっていて、実際の映画評論やゲームファンの中でも賛否の「否」のほうが圧倒的に多い作品です。これはゲーム再現度だけではなく、映画単体としても「今何を観せられているの?」と疑問が出る内容になっているためです。では具体的に何が「ダメだったか?」についてゲームと比較しながら解説していきます。
あくまで個人的な感想です。
ゲーム本編は面白いのでやってください!
龍が如く事態は非常に面白いゲームですのでプレイされていない方は是非プレイしてください。映画はアレでしたが、ゲーム本編は「シリアスなストーリーと遊び心にあふれた名作」です。今回スイッチ版でも初代龍が如くのフルリメイクの移植作「龍が如く極み」が出ています。この機会に是非ともプレイしてみてください。
モブが主役でメインストーリーは「ほぼおまけ」
刑期10年を終えて神室町に「堂島の龍」こと桐生一馬が戻ってきた。神室町は相変わらず治安が悪い。コンビニ店員に絡むヤクザ、さえない銀行強盗犯…そんな日常に彼が登場するところから物語が始まる。出所後の彼を待ち受けていたのは東城会の消えた100億円の関係者というデマ、それをネタに必要以上につけ狙う真島吾郎との戦いが繰り広げられる。一方彼は行方不明の母親を探す一人の少女「遥」と出会う。彼女の母親を探しながらことの真相を追及していく?
序盤40分は余計な描写が多すぎる
ゲームとの相違点でもあり、今後の展開に特に意味をなさない演出が続きます。
- コンビニ店員とその彼女のくだり
- 銀行強盗のコント
メインストーリーに一切関係ない描写です。もちろんゲームでは一切出てこないモブのお話になります。これが非常に長い時間繰り広げられます。コンビニ店員と彼女は強盗を繰り返しますが、はっきり言って素人丸出しのナイフで脅すような方法でうまくいくことはないです。ご都合主義すぎます。盗んだお金で拳銃を買いに行きます。もうこの時点で「どうでもいい」と思いながら画面を眺めてました。(ちょこちょこメインに絡みますが、結局伏線も何もありません。)結局金を借りていたヤクザの借金が莫大になったことが強盗した理由らしいです。どこの派閥のヤクザかすらわかりませんが。銀行強盗もただ「10年前に比べてヒートアイランド現象が起こって暑くなった」ということを言いたいだけのコントが繰り広げられます。
劇中の俳優さんが実際のゲームに登場していた
強盗役の遠藤憲一さんは後の「龍が如く4」の刑事役、刑事役の哀川翔さんは後の「龍が如く5」での借金取り立て屋として出演してます。ここに強盗の相方にムロツヨシさんと豪華な俳優さんの無駄使いをしているあたり演出の意図が見えませんでした。(ただ銀行強盗の対策本部はマフィアと関連がありますけど…要らない演出だと思います。)
神室町の雰囲気を演出したかったのかもしれません。シリアスになり過ぎないという意味ではゲームを理解しているのか…いや、わかりません。
真島吾郎が暴れすぎ
真島吾郎は「嶋野の狂犬」として恐れられる「ぶっ飛んだ猟奇的なキャラクター」と認知されていますが、金属バットを持って街を徘徊して意味なくヤクザと揉めることはないです。本作中で真島と小競り合いをするヤクザが出てきますが…派閥も何も語られておりません。全体的に言えますが、説明不足感が否めません。そんな真島吾朗についてゲーム本編の彼をネタバレありで下記記事にまとめてありますので興味がある方は是非。
桐生一馬の捕まった理由と10年前の事件が不明
ゲームでは「親殺しをしてしまった親友錦山を庇って捕まった」「親殺しにより破門を言い渡され堅気になった」という設定でした。しかし本作では何故捕まっていたか?何故「堂島の龍」と呼ばれているか?については何も言及がありません。真島の部下の一人が「元東城会の桐生一馬」と言い、伊達刑事が「10年前の事件」とだけ発言し、真島吾郎と対峙したときに「10年前の因縁か」と桐生が発言します。が核心を突きません。
遥との出会いが全く違いすぎて印象が薄い
ゲームではバーでの銃撃戦の後にピストルを抱えていた少女が遥です。既に各組織から「消えた100億円」のカギを握るとして狙われていました。また彼女の母親は桐生一馬の幼馴染でかつて愛した女性です。そこの描写も一切ありません。「知り合いなだけ」としか言及していません。本作では彼女のパーソナリティーに触れる点があまりありませんので「小生意気な女の子」のイメージしかありません。実際は「自分の運命に翻弄されながらも懸命に生きる女の子」です。これだけ端折られれば…仕方ないと思いますが、あまりに扱いが雑です。
ここまでの描写で視聴者は桐生さんが彼女の母親を探すだけに命をはる理由が理解できないと思います。
モブストーリーが加速する中おまけの戦闘が続く
母親の行方を探す中、スターダストのオーナー一輝の協力で捜索を進める。武器商人の証言で「桃源郷」に向かう桐生と遥。そこでまた真島吾郎と再び対峙することに。そこで真島吾郎に追い詰められた彼を救ったのが尊敬する風間組組長その人だった。彼から唐突に母親の居場所と消えた100億円の居場所がミレニアムタワーだと知らされる。
やっと出てきた錦山というワード
ゲームでは序盤から登場し、桐生一馬とは同じ施設出身であり、無二の親友であった「錦山彰」。メインキャラクターであるの「名前」が開始1時間後に出てきます。ただし、「名前だけ」です。そしてその20分後にエスカレーターから這い上がってくる錦山と思われる人物のワンカットが挿入されます。真木蔵人さんが演じておりますが…唐突すぎる登場と再現度の低さに思わず笑ってしまいました。
桃源郷の戦闘がありえない
そもそも真島吾郎は戦闘狂ではありますが、銃火器をぶっ放すキャラではありません。そもそも子供がいる中で銃を乱射するほど狂っていません。(ただし、龍が如く1~2リリース後に撮影されたとすると狂犬というイメージが強かったのかもしれません。)であれば、ドスを振り回すように配慮してもらいたかったですね。バッティングセンターを根城にしていると設定をしたためか金属バットをメインに持っています。(奇しくも、後のシリーズで金属バットを持って戦うようになるのですが…)
間違って「龍が如くOF THE END」やったのかな?と思わず声が出た瞬間でした。
風間のおやっさんで物語の軌道修正
ゲームでは殺されているはずの風間組組長が登場して、真相に全く辿り着いてない桐生にネタ晴らしを行います。「そこまでして物語を終わらせたかったのか?」と目を疑いました。ここまでで端折られたゲームの要素としては
- 錦山の素性
- 嶋野組の絡み
- 蛇華の絡み(中国マフィア)
- 劉家龍の存在
- 東城会三代目世良勝の殺害
- 遥との交流と絆を育む描写
- 消えた100億円の真相
全てが空気で、ゲーム要素を差し引いても映画としてストーリーが薄いです。ゲーム的な要素で言うと突っ込みどころが多すぎて話になりません。作中に出てくるほとんどの要素もなく、説明も補填もありません。作中に出てきた韓国マフィアもよくわかりません。全体的に言えるのが「よくわかりません。」です。
ここから怒涛のスピードで物語は佳境を迎えます。
展開が早すぎたのでダイジェストでお伝えします。
- ミレニアムタワーに主要人物が集合
- 粗すぎるヘリの運転で黒幕(神宮)ワンカット
- 毛量の多い錦山と最後の決闘(瀕死の状態で戦う)
- スタミナンスパークで瀕死回復
- 錦山倒して由美登場
- 雑に置かれた100億円の束
- 由美初登場で全てカミングアウト
- 神宮名前だけ登場
- 由美を見捨てて逃げる桐生
- 神宮謎の韓国人に射殺される
- 由美意味ない爆死
- 神宮一言も発せず退場
- 100億円が神室町にばらまかれる
- モブカップル彼女銃で撃たれて瀕死
- モブ銀行強盗無事捕まる
この一連の流れがわずか10分で繰り広げられます。
あれだけ激推ししてたモブカップルもモヤッととした終わり方
借金先のヤクザに撃たれたカップルの彼女を彼氏が背負って神室町を彷徨っています。病院行けばいいのに。そこでミレニアムタワーの無意味な爆発によって100億円がばらまかれます。それを見て彼女が「すごくきれいね」と言います。彼氏が「全部拾ってやるからな」で彼らの出番は終了です。
全体的に演出がひどい
度々原作リスペクト感を出したいのか、パンチのエフェクトが出たり、アイテムがカメオ的に置いてあったりしますが、最後の錦山との「死闘?」で瀕死の桐生さんを救ったのは「スタミナンスパーク」一本でした。演出もひどかったですが、「ギャグなの?シリアスなの?バイオレンスなの?」と思わず顔をしかめてしまいました。
まとめ
本来でしたら細かい突っ込みどころを細かく解説したかったんですが、気力が追いつかなかったため断念しました。申し訳ありません。ただ、数十年ぶりに記事を執筆するために観ましたが、正直きつかったです。このブログで初めてこのような酷評記事を書いてしまったことの罪悪感が否めません。決して携わった方々を酷評したいわけではなく、ファンとしては「非常に残念である」と忖度なしに感想を書いたつもりです。不快に思った方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。
一応、念のためにお伝えしますと…Amazonプライムで視聴は出来ます。
おすすめはしません。ゲームのほうをやってください。
龍が如く実写ドラマネタバレ考察記事は下記
以上、龍が如く劇場版について、ネタバレ解説と感想でした。
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