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【映画を見てみた】THE FIRST SLAM DUNK:なぜ評価がわかれたのか?演出と最後の解釈で180度評価が変わる作品【原作比較とネタバレあり考察】

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今回は映画「THE FIRST SLAM DUNK」の視聴後のネタバレ感想になります。あくまで個人的な感想と原作コミックとの比較を含めた考察がメインになりますので、ご了承ください。参考程度にお読みください。

感想上、ネタバレが多分に含まれます。まだ未視聴で、ネタバレが嫌な方は先に進まないでください。ご了承の上お読みください。先に作品に触れたい場合はレンタルやブルーレイも出てます。

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目次

THE FIRST SLAM DUNK

週間少年ジャンプで1990年から1996年にかけて連載されていた「SLAM DUNK(スラムダンク)」を原作とした映画になります。2022年封切後、復活上映も最近までやっていました。全体的に3Dモデリングを使用したアニメーション映画になり、メインとなる「山王戦」をリアルに表現しています。

全体的なストーリー

夏のインターハイに初出場した湘北高等学校バスケットボール部。2回戦の相手は優勝常連の「最強、山王工業」。その死闘を湘北バスケ部のPG(ポイントガード)「宮城リョータ」の目線で描く。彼の生い立ちやバスケットに対する特別な思い。家族。そして「最強山王」に対しての湘北メンバーの個々の葛藤を描く。結末は意外な方向に着地するのだが…

「バスケの試合」を忠実に再現

バスケをする海外の人

まず本作に触れて感じたことは「バスケの試合が忠実に再現されている」という点です。3Dモデリングを利用してますので動きはモーションキャプチャーなどを使ってリアルに再現しています。ただ原作の要所要所のカット割りも一瞬ではありますが、忠実に再現されています。(流川がダンク決めるところとか)反面原作ファンとしては「感動が薄まる」と言った意見も見られます。冒頭のアリウープではかなりアッサリ表現されているなと個人的には感じました。ただ実際の試合はすごい技でも一瞬ですので、本当にリアルに拘った作りなのだと感じました。

宮城リョータのルーツを知ることが出来る

沖縄の海

本作の主人公は「宮城リョータ」になります。普段クールで人をおちょくるくらいの大胆不敵さを持っている彼の「シリアスな過去」に触れることになります。冒頭数10分は彼の幼少期を描きます。沖縄での暮らし、父親の死、兄(ソータ)との絆と突然の死、母親の葛藤などが随所に見られかなりシリアスな展開になります。結構呑気に見ていた自分は開始数十分で「思っていたのと違う」と感じたわけです。

DRO

ここでリョータが何故バスケがうまくなったかを知ることは出来ます。

フィジカルのハンデがあっても兄を追いバスケをする

出典:「SLAM DUNK」第23巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第23巻より引用

もともと身長が低いリョータは兄に憧れバスケを続けます。兄の背を追うようにバスケに夢中になりますが、いつしか兄の死後、自分が彼の代わりになれないことに気づき葛藤します。それはチームでの役割でもあり、母親に対しても「兄の代わりに成れない自分」を攻めてしまいます。またまだ幼い彼が最愛の兄の死を受け入れるのには時間がかかったのではないかと思います。

最愛の存在を2人失った母親の心境

夕暮れの母子

夫と息子を近い時期に一気に失くした母親の心境が本作では度々触れられます。ソータの恰好をしたリョータに対して本気で怒るシーンや、ミニバス時代にソータとリョータを比べられてしまったときなど、全てを受け入れているようでまだ幻影を追いかけるような切なさが彼女の感情表現で伝わってきます。一部では毒親と比喩されてしまう彼女ですが、精神的、経済的な不安は計り知れません。個人的には親として観るとこの点がかなり切なく感じました。

最終的には理解し合えるように

握手する人たち

そんな母子ですが、本作ラスト近くで和解が出来ます。山王戦に向かうリョータが残した手紙により母親はミニバス以来(だと思いますが)インターハイでの山王戦の試合をこっそり観に行くのです。試合後リョータと海岸で再開し、お互い素直な気持ちで認め合うことが出来ました。リョータが試合前日手紙を書くシーンで個人的に刺さったのは、ネガティブな内容を書き始めて途中で消すシーンです。「ソータの代わりになれないことの懺悔」ではなく、「ソータを思い出したくない母親が、唯一リョータがソータと繋がっていられるバスケ」を辞めさせなかったことに対する「感謝」をつづるのです。これは兄の死を受け入れ、今まで苦労を掛けた母親への精一杯の気遣いだと思いました。

原作との違いまとめ

出典:「SLAM DUNK」第31巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第31巻より引用

ここでは原作と映画の違いについて気が付いたところをまとめてみました。恐らくここが一番賛否を分けた箇所かと思います。実写化もしかり、原作が有名な漫画を別の作品として表現した場合には「原作の乖離」が多い場合に拒絶反応が出てしまうのは何となく理解できます。本作についても結構そういった意見が多い印象です。

DRO

あくまで本作は「原作とは違う表現をした」映画オリジナル要素は当たり前であることを井上先生は明言されています。

ギャグ表現がほぼない

出典:「SLAM DUNK」第25巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第25巻より引用

デフォルメ表現が原作では度々出てきます。シリアスな展開でも緩急的な演出として出てきますが、今回はほぼないです。(画像は試合開始時にアリウープを決めたときの二人。本作ではディフェンスに後ろ走りしながら言葉を交わす程度に変更)恐らく試合のテンポを崩さないような配慮かと思われます。あくまで原作に基づいたバスケの試合をなるべく邪魔しないように別の表現方法に置き換えられていたと推測します。

演出やキャラクターのカット

出典:「SLAM DUNK」第26巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第26巻より引用

映画本編が2時間と限られた時間内で「山王戦」と「リョータの過去」を両立させることはほぼ不可能です。そのため色々な要素がカットされています。試合に集中させるためか、本作での主要キャラクターは湘北、山王メンバー以外だと「春子を含め数人の花道関係者」のみです。その他は結構な範囲でカットになっていました。一番驚いたのは前半部分の攻防がほとんど描かれていないところです。なので必然的に河田の弟「ミキオ」は全カットでした。(本作でも声なしでちょこちょこ出ていたミキオくんは画像の左)試合開始して前半を終了するまで本当に短いです。結構期待していたのですが、個人的にだいぶ残念なポイントです。

カットシーンまとめ

出典:「SLAM DUNK」第30巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第30巻より引用

(画像は過去を振り返り現メンバーとの出会いに触れ涙する赤木。本作ではこの回想含めカットされています。)

  • 前半戦の攻防
  • ギャグシーン
  • 山王の各選手の回想
  • 河田ミキオの登場
  • 板前魚住
  • 海南選手
  • 赤木の涙

上記は自分が一度観て気が付いたものです。(もっとあると思いますが)概ね原作では各キャラクターが本筋を補填するように構成されています。本作ではそのような補填がほとんどカットされているので「試合としての山王戦」「宮城リョータ」については原作なくとも理解は出来ますが、原作ファンからするとそれがミスリードにつながる危険性を帯びています。また原作を知っているからこそ「言葉足らず」という表現になりますが、原作を知らないで観た人にとっては「そこまで違和感がない」と感覚的な「乖離」が生じます。

板前魚住はカットして欲しくなかった

出典:「SLAM DUNK」第28巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第28巻より引用

「板前・魚住」がカットされて映画オリジナルの「嫌な赤木の先輩」の幻影が赤木を惑わす演出に差し替えられていました。…本来は板前修業中(画像)の魚住が「河田は河田、赤木は赤木だ」という「河田に赤木が個人で負けたら湘北が負けてしまう」という葛藤を乗り越えるヒントを与えてくれる胸熱シーンです。本作だと「先輩の幻影を自分で断ち切った」という表現になっています。個人的にはこれは「それまでの赤木と魚住とのライバル関係」があったこともあり、ちょっとご都合主義的な感じもして、個人的には好きではない演出改変でした。

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赤木を刺身の「ツマ」(引き立て役)と表現し、技がある河田は華のある「鯛」、赤木は泥にまみれる「鰈」と例えて「おまえはおまえだ」と赤木に教えてくれます。

山王選手が傲慢に映ってしまいがち

出典:「SLAM DUNK」第27巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第27巻より引用

原作では彼らは「常勝にも関わらず油断をしない」「決して傲慢ではない」という表現がされています。(一部沢北についてはプライドが高いという表現はそのままですが)ただ本作だけ観ると彼らの人隣りを象徴する補填がないため勘違いする視聴者もいるかもしれません。特に花道が後半戦で「勝利への応援をしろ」とベンチに煽りを入れているシーンで河田が笑ったシーン。これは決してバカにしてるわけではなく、あくまで自分たちの向上心があるが故に、諦めずに向かってくる相手を気に入ったことを表現しています。しかし本作の表現だと完全にバカにしていると捕らわれてしまいがちです。ここらへんの原作からの丁寧な細かい心情のキビをカットしてしまうのは自分にとってはかなりマイナスだと感じました。

花道含め湘北選手も微妙に空気

出典:「SLAM DUNK」第29巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第29巻より引用

リョータ以下他のメンバーも最強山王に対して葛藤を抱えて、この短い試合の中で気が付き戦います。ただどうしてもカットシーンや心理描写に差があるかなと思います。流川については、やはり仙道との回想は入れて欲しかったなと思います。彼が沢北に勝てないといけないという気づきを与えたのは画像の通り、「仙道のアドバイス」です。これが抜けていて急にパスを始めたのはかなり違和感があります。また流川がパスをしないということをわかりやすく伝えたのは海南の選手たちのリアクションなどです。原作を知っているからこそ余計に違和感があったのかもしれませんが、やはり2時間で新要素を含んで表現するのは難しいと感じました。

花道と流川のタッチシーンが微妙

出典:「SLAM DUNK」第31巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第31巻より引用

これは超個人的な意見ですが、やはり原作のあの2ページ見開きのタッチシーンは映像化がほぼ不可能だと思いました。(画像はその直前の放心状態の二人)原作同様、試合の残り数十秒は余計な音がなくなる演出にはなっていましたが、やはりタッチするシーンの井上先生の画力は半端なかったです。二人が放心状態で本能的に「タッチしてしまった」あの名シーン。それを演出するために原作では呆然とする山王選手を横切って二人が歩み寄りますが本作ではその描写もいまいちでした。多分、漫画を超えることが不可能な表現だなと痛感しました。それだけ印象的な絵だったのです。

新規追加されたリョータと三井の関係性が微妙

出典:「SLAM DUNK」第8巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第8巻より引用

度々過去のリョータと三井の遺恨について触れているのですが、正直「表現・説明不足」です。中学生にニアミスしていたという新事実は出て来たものの、本作だけ観ていると気が付きにくいです。また三井が犯した過去の過ちについてはそこまで触れていないので原作を知らないと「三井昔ぐれてたな」位で流されてしまう危険性があると思います。彼が暴走し湘北が廃部の危機に直面したエピソードがわからないと理解が難しいと思います。

DRO

ファンにとっては「ミッチーと前から顔見知りなのか?」と思わせる演出でしたが、原作を知らないと「ミッチーって呼ばれてるから三井のこと?」位にしか思えません。

安西先生との接点が解明されないまま

出典:「SLAM DUNK」第17巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第17巻より引用

原作では画像の通り、宮城リョータをスカウトした陵南の監督に「安西先生が良い」と断った場面があります。本作ではそこが少しでも理解できるのでは?と期待をしたのですが、結局補填されずに終わってしまいました。出来れば何故中学時代にリョータが安西先生の存在を知ったか教えてほしかったです。三井と中学時代ニアミスしているので、もしかしたら知り合いになって教えてもらったのか?と考えられなくもないのですが…真意はわかりません。

読み切り「ピアス」の接点が多い

週刊少年ジャンプで読み切りだった「ピアス」。この作品には「リョータとアヤコ」が登場します。またリョータの兄は彼が小学三年生の時に死んでしまいます。本作中に「あれから8年」というセリフからピアスのリョータの兄が死んだ時期が合致します。これで読み切りの「ピアス」はリョータを指しているのか?と推測が出来るようです。しかし作者の井上先生曰く「パラレル」だそうなのでインスパイアされたにせよ事実的なつながりはやはりないそうです。

ラストシーンの解釈

夕焼けのバスケットゴール

本作にない要素で、一番の謎ポイントがラストシーンです。本来なら怪我をした花道に春子さんが手紙を書き、その後の湘北バスケ部の近況を伝えた上で、リハビリに向かう花道とリハビリ担当医師との会話で終わるのですが、本作ではかなり突飛な終わり方をします。なんとリョータが渡米するという新事実が語られるのです。

アメリカで沢北とリョータがマッチアップする

出典:「SLAM DUNK」第29巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第29巻より引用

原作通り沢北はアメリカに行きます。原作ではインターハイが終わった直後に渡米すると表現されていました。そんな彼を日本記者がインタビューする形でアメリカでの試合風景が映りだします。この直前にトイレで「自分の掌を見つめている」とある人物が映ります。それが宮城リョータでした。掌を見つめるの本作で追加された彩子さんとのやり取りで説明がありましたが、「何かをするときに落ち着くためのワンアクション」として掌を見る仕草については原作ではなかった要素ではあります。(彩子さんがリョータの掌に「№1ガード」と書いたのは同じ)

渡米時期はいつなのか?

出典:「SLAM DUNK」第31巻より引用

出典:「SLAM DUNK」第31巻より引用

ここで疑問になるのが、「リョータはいつ渡米したか?」という疑問です。明確な表現はなかったんですが、原作では彼は赤木引退後湘北のキャプテンになっています。流川の渡米を止めた安西先生の存在もあるので、恐らくは湘北引退後に渡米したと推測しますが…そもそもリョータがアメリカに渡米したがっていたかは謎です。

スラムダンクの奨学金説を推すのが一般的

©inouetakehiko,I.T.Planning.inc.より引用

原作登場以来30年ほどたっていますが、集英社と井上先生で「スラムダンク奨学金」が発足されて、現にこの一期生に宮城リョータに似た沖縄県出身の小柄なPGの選手が実際にアメリカに渡米しています。恐らくはこの「現在の世相に合わせた演出なのでは?」「もともとお金がないと思われる家庭環境でリョータが渡米を実現させるにはこの奨学金制度を使ったんじゃないか?」と推測する意見が今最も多いネット上の意見だと思われます。可能性としてはかなり納得が出来ることですが、あくまで推測です。

個人的おすすめは「原作」を読んでから観る

総合して原作との乖離があるのですが、おすすめは原作を読んでから観てください。どちらも井上先生が監修しているので「本物」ではあるのですが、どうしても上記で指摘した点をどのように解釈するかは視聴している方に依存します。自分のように原作を読んでから本作に触れると色々と考える点が多い作品だと思います。個人的には他の高校との経験を経て本作の湘北があるので、こちらを理解した上で観ていただくことをおすすめします。

まとめ

シュートが入ったときのバスケゴール

今回はTHE FIRST SLAM DUNKについてネタバレありの個人的な感想を記事にしました。賛否両論ありますが、自分は個人的には楽しめたと思います。ただどちらかと言うと「原作をもっと読んで欲しい」と映画だけを観た方に言いたいです。やはり丁寧な選手のキャラクターの補填は原作に勝るものはありません。是非ともまだ読んでいない方は読んでください。

以上個人的なTHE FIRST SLAM DUNKについてのネタバレ感想でした。

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