今回はゲーミングや4K動画編集用のPCを購入するための基礎知識、「GPU」についての解説記事です。具体的に主要メーカーとそのシリーズの性能や型番の違いなどをまとめています。またそれらを積んでゲーム用と編集用で個人的に優先すべきスペックを記載してますので参考程度にお読みください。

一応PC選びは少し自信があります(本業:IT担当)ひと昔前は自分でPCを組んでました。最近はBTOで買ったほうが何かとお得です。
GPUとは


PC内にある映像処理を行うチップのことです。CPUが全体的な処理を行うチップに対してGPUは映像処理特化のチップとして内蔵されています。演算処理的に「並行処理」を行うことで膨大な情報量がある映像描写を処理することが可能です。グラフィックボードと呼ばれるパーツに貼り付けられゲーミングや編集用PCにはなくてはならない重要なパーツの一つになります。
何故GPUが重要なのか


業務用PCなどではGPUは内蔵されていません。なぜなら必要がないからです。主にマザーボードにそのまま格納されていたり、CPUにGPUが内蔵されていたりします。しかし、ゲームや映像を描写するにはスペック不足で処理が出来ません。なのでGPUは独立させて「映像処理特化」の高性能なパーツとして備え付けられています。
GPUはマイニングで成長したパーツ


一時期流行したマイニング(仮想通貨の取引などを検証、承認して対価を受け取ること)は膨大な量の並行演算が必要な作業でした。GPUがこの処理に利用され、競合に先を取られないように「もっと性能が良いGPUが欲しい」と需要が増大しました。さらに莫大なマイニングの報酬があるので「価格が高くても入手する」流れもあり、GPU市場は非常に活発になり、製品の性能も向上していきました。



これから紹介するAMDもそれらで収益を上げてCPU市場にも復帰したメーカーとして有名です。(Ryzenなど)
ゲーム以外でも需要が高まる


主に動画編集であったり3DCAD(設計図作成)など映像出力が頻繁にあるソフトの運用に重宝されています。ゲームほどのスペックが求められる機会はさほどありませんが、クリエイターを中心にGPUの恩恵が十分に受けられる作業の一つになります。ゲーミングPCを購入する目的の中でも「4K動画編集や音声編集がしたい」「仕事で利用ができる」が含まれており、昨今の「コンソール機の高騰」も相まって、ゲーミングPC市場がさらに活発になるのかと推測されています。ゲーム機とゲーミングPCの違いについては下記記事をご覧ください。
増設する場合はデスクトップ推奨
ノートPCタイプのゲーミングPCはありますが、「増設」(パーツを新しいものに入れ替える)をする場合はデスクトップのほうが有利です。GPUのパーツは基本的にはグラフィックボードごとの販売になりますので、ノートPCに内臓させる想定での商品がありません。外付GPUボックスで接続すれば利用は可能ですが、機能的には6~8割程度しか出力が出来ません。伝送率の問題が主な原因です。拡張性と熱対策を考慮すると個人的には圧倒的にデスクトップが有利だと思います。
主要メーカー「NVIDIA」と「AMD」


GPUを選択する際によく出てくる単語としては「RTX」や「RX」などのアルファベットがあると思います。これらはGPUメーカーがリリースしている「シリーズのグレード」であったり「シリーズの型式」を指します。ここでは主要2大メーカーについて解説していきます。
NVIDIA:Geforceシリーズ


GPUを主要商品として生産している半導体メーカーである「NVIDIA」。世界最大手でありゲーミングPCで人気があるシリーズは「Geforce」になります。「3D描写と高速処理」が得意な高性能GPUが多く、ユーザー間でも「GPUはGeforce」といわれるほどの人気を誇ります。シェア率は驚異の80%以上といわれており、必然的に対応するソフトも圧倒的にGeforceのほうが多いのも特徴です。
AMD:Radeonシリーズ


マイニングでのし上がったCPUとGPUメーカー「AMD」。NVIDIAに次ぐシェアを誇る半導体メーカーになります。「Radeon」シリーズは「コストパフォーマンス」と「画像の明るさ」に定評があり、最近のゲーム機でもAMD製品のGPUが多く採用されています。グレードなどで同性能のGeforceと比べると価格的にはこちらのほうが安い場合が多いです。



2022年ころからIntelもGPU市場に参加しています。今後CPUとの競合などでシェアが拡大する可能性は高いと思われます(コスト次第かも)
GeforceとRadeonどっちが良いか


よく議論がされる「GeforceとAMDどっちがいい」というものですが、大きく分けると「自分が求めている性能とコスト」で判断されるのが最も一般的です。シリーズのグレードによって判断は異なりますが、特徴は下記になります。
- シェア率が高いので対応ソフトが多い
- Windowsとの相性が良い
- 3D処理が得意で処理速度も速い
- レイトレーシング機能が優れている
- 高性能でやや価格が高い
- 高性能重視のユーザーに好まれる
- ハイエンド機種を求めている人向け
- コスパが良い
- 発色が明るく映像処理向け
- ミドルスペックのラインナップが充実
- 標準的なゲームはこれで十分
- クリエイターやミドル機種を求めている人向け
グレードによっては同じ処理機能を有するので判断は難しいかもしれませんが、同スペックでの価格の差と処理傾向によって比較検討が出来るかと思います。レイトレーシング(光源と追跡の描写)についてはGefoceのほうが優れています。また安定性などは概ねGeforceのほうが優秀とされています。大雑把に言うと「せっかく買うならハイスペック」という方はGefoceを、「とにかくコストを抑えてミドルスペックで」という方はAMDをという分け方が出来ます。



個人的なおすすめは高性能と安定性で「Geforce」です。最近はRTX50シリーズリリースの煽りで4060などが低価格化してます。
GPUの選び方と性能


CPUと同じように各シリーズには「シリーズ(世代)」と「グレード」があります。主に「シリーズ(世代)」のナンバーが高いほうが近年にリリースされ、「グレード」のナンバーが高いほうが高性能とされています。世代が前になったとしてもグレードが高い場合はそちらのほうが高性能な場合がありますが、同じグレードの場合は世代が後のほうが性能が良い傾向にあります。
- 40はシリーズ(世代)
- 60はグレード(50→90で性能があがる)
- SUPERやTiやTi SUPERは同グレードより性能が良い
- 7はシリーズ(世代)
- 600はグレード(600→900で性能が上がる)
- XTやXTXは同グレードより性能が良い
両メーカーも考え方はほぼ同じです。RTXだとSUPER→Ti→Ti SUPERの順で何もついていない型番より性能が向上します。(Radeonも同じく)価格帯と性能のせめぎあいを考慮すると無印でグレードが高いものよりもSUPERなどがついたグレード一つ下を狙ったほうが良い場合もあります。
GPU以外の推奨スペック


ディスプレイの解像度によって求められるスペックが変わります。解像度が大きいもの(4K)のほうが処理をする範囲が広くなるのでGPU以外に配慮する点が発生します。以下はその注意点になります。個人的には4Kでゲームをプレイしたり動画編集をする場合は要求スペック以上のGPUを搭載したPCを考慮することをおすすめします。
- GPU:RTX4070以上の場合
- CPU性能(Corei7やRyzen7以上)
- メモリ:32GB以上推奨
- 4K対応のビデオカード(HDMI)
- 電源ボックスの消費電力(750W以上)
- 冷却装置(水冷式)
GPUやグラフィックボードに負荷がかかるのを想定した配慮になります。これらが1つでも欠落していると満足なプレイや寿命に影響を与えますので、最低限確認をすることをおすすめします。特に電源周りは750Wくらい確保しておくと安定しやすいです。ミドルスペックの場合は650W程度でほぼ問題ないかと思われますが。



個人的にはフルHD環境で4K動画編集もゲームも楽しめるミドルスペックPCがおすすめです。
GPUとCPUのおすすめ組み合わせは


現状のところシェア率、安定性などを考慮すると個人的にはGeforce一択です。GPU性能が高いものでCPUは並みにして、さらにディスプレイ解像度をフルHD~2Kにするとコスパ的にも性能的にも快適にプレイや編集が出来る環境を作ることが出来ます。他の高負荷作業にも活用が出来ますのでどうせなら「良いGPU」を積んだPCを購入することをおすすめします。
- 4Kなら:RTX4070以上(Corei7、Ryzen7)
- フルHDなら:RTX4060ti以上(Corei5、Ryzen5)
なんでもしたいならハイスペックよりが良い
結局のところスペックで考えるとゲーミングPC=クリエイターPCになりつつあります。しかしゲーミングPCのほうがスペックダウンしてもタイトルによっては耐えられる一方、10bitを超える色情報を持った4K動画編集では「CPU」「メモリ」「GPU」は高性能なものが推奨されます。以上を踏まえて「両立できるPCスペック」は下記になります。
- CPU:Ryzen7、Corei7以上
- メモリ:32GB以上
- SSD:1TB以上
- GPU:RTX4070以上
- 他は上記同様



細かい調整は特にGPUになります。ゲーミングで4Kで出力する場合は4070SUPERを視野にする必要があるかもです。
CPUの読み方は下記記事に詳細が書いてあります。
RAMの恩恵は作業内容による
シリーズが新しいほうが良いのはもちろんですが、内包されている「RAM」には注意が必要です。これはビデオメモリと言われるGPUの作業用のメモリになります。実は3060と4060で比べると内包されているメモリは3060(12GB版)のほうが優れていたりします。ただ他が上回っているので「作業メモリ」の差が出る場面以外は恩恵は4060のほうがあるという考え方です。(劇的には変わりませんが)概ね4060tiなら8GBでいいかなと個人的には思います。



フルHDゲームなら4060、画像生成をするなら3060(12GB版)のほうが適している場合があります。
「NEXTGEAR」は狙い目


mouseコンピューター公式サイト「NEXTGEAR」より引用
スペックと価格帯を抑えたNEXTGEARシリーズはかなり良心的。元々ハイエンドシリーズである「GTUNE」やクリエイター向けの「DAIV」などを提供しているメーカーですが、コスパが良いゲーミングPCシリーズのNEXTGEARは今かなり注目されています。ある程度パーツのカスタム制限があるにせよ、スペックを決め打ち出来るものがあればこれでいいんじゃないかな?と個人的には思います。ただスペックはハイよりのミドルのほうがコスパを感じられると思います。ゲーミング性能だけで考えるとRyzen7 7700が特におすすめです。



4060ti搭載モデルが現在軒並み在庫切れになってしまってます(25年2月現在)
ドスパラの「THIRDWAVE」が優秀


ドスパラ公式サイト「THIRDWAVE」より引用。おすすめ第1位は納得
個人的には納期が早いBTOの「THIRDWAVE」もおすすめ。インテルCPUを積んだ「Magnate-G MV-TiB」が基本型式でカスタマイズが可能。現在一番欲しいのはこの型式のPCです。CPUはCorei5なので4060tiと相性が良いです。メモリは32GBに上げるのがおすすめです。大体18万円くらいでゲットが出来ます。



ただ4060tiでの相性と考えるとCPUはCorei5,Ryzen5でも支障はないと個人的には思います。GPU性能をしっかり出してくれます。
パソコン工房「LEVELΘ」が神(これ買いました)


パソコン工房「LEVELΘ」公式サイトより引用
老舗のBTOで実店舗も多くある信頼のパソコン工房。こちらもコスパが良いゲーミングPCシリーズの「LEVELΘ」たまにやっているCPUやGPUSALE対象になると1万円位安くなって元から安いのにさらにコスパの良さを感じられます。ボディもピラーレスモデルが選べてパーツ代もやや安め。同スペックで購入したら多分一番安い製品。自分はこちらを既に注文済です。
まとめ


今回はGPUの選び方とおすすめPCスペックについて記事にしました。動画編集についてはかなりマシンスペックが必要とされています。ゲーミングPCについては今後マルチプラットフォーム展開が加速すると思われますので、是非とも参考にしてみてください。
以上、GPUの基礎知識とPCのおすすめスペックについてでした。